現代帝王学 (能力)

日本大学生産工学部 マネジメント工学科
非常勤講師 渡邉 幸雄

 皆さんが社会に出て必ず必要とされるのが「能力」です。この「能力」があるか無いかではその人間の存在が全然違ってきます。能力と言っても色々な能力があります。その色々ある「能力」の中でも一番大切なのが「段取り能力」です。この「段取り能力」というものは、皆生まれながらにして持っているものなのです。只、気が付いていないだけなのです。今は社会で教えるものを「大学で教えている」ところが多いです、例えばこの日本大学生産工学部マネジメント工学科は日本でもいち早く取り入れた学校です。そこで学ぶ学生達の為に先生達は一生懸命勉強して、学生達が社会に出て「リーダーシップ」が発揮できるように教育しているわけです。だから学生諸君もしっかり話を聞き、身に付けてもらいたいと思います。先ほど言いました「段取り能力」は社会に出て会社で教えてもらいます、それは入社し1週間もすれば先輩、上司から「何々しろ、何処そこに行け」と必ず命令又は言われます。其の時「はい」と言って素直にやる人間が仕事を早く覚えるのです。このようにして「仕事の段取り」を覚えていきます。又ハングリー精神がある人間は覚えが早いと言われています。ハングリー精神がある人間は「輝いています」又反対にハングリー精神がない人間は「若者ではなくなっています」何も難しい事を言っているのではありません。生きていく上で必ずいるのが「段取り能力」であると言っているのです、その「段取り能力」は社会の先輩によって引き出して貰うものなのです。その為には「素直さ」が必要です。社会に出て1年もすれば大体の事が分かってきます。先輩達も上司達もこの新人は「能力」があるか無いかは分かる訳です。其の時に「悪いレッテル」を貼られないように一生懸命「段取り能力」を身に付けてもらいたいものです。
 「能力」を引き出された人間は何をやっても出来るようになります。その現場での知識を学べば「今、何をすればいいか」が分かります。閉めたり緩めたりのペース分で「イエス・ノー」を自分で決められるようになるのです。又何年もの月日が経つ事により「心」が豊かになり「強い精神力」を身に付けるのです。そういう人間は「人にこうしてほしい」「自分でこうしよう」と決断力を発揮するようになります。
 今テレビで放送している「龍馬伝」の岩崎弥太郎の事を例にして言いますと、土佐藩(高知県安芸市)の地下浪人の家で育っている「七人家族で、傘一本手ぬぐい二本で暮らす」と言われている貧乏な家庭だった。その彼が今の三菱財閥を築く基礎を作った、それは彼独特の「能力」が有ったと言われています。土佐藩の吉田東洋の甥の後藤象二郎に取り入って(今で言うゴマすり)土佐藩の海産物の販売会社である「土佐商会」の長崎出張所長に抜擢され、それは彼が(ソロバン・経理)に優れていたからである。坂本龍馬からは親友の武市半平太が後藤象二郎によって切腹させられたという怨念がある、後藤象二郎につくとは思いもよらなかったみたです。でも岩崎弥太郎は後藤象二郎につくことによって今の三菱財閥をつくったわけです。これは「能力」の何ものでもないと思われます。坂本龍馬は今でいう「スワップ取引」で薩摩と長州を同盟さした。薩摩は戦争に備えて兵糧米がほしい、長州は戦争の為に武器がほしい、そこで龍馬は薩摩の名義で武器を買い、その武器を長州に売り長州からは米を買い、米と武器の「スワップ」取引を行い両藩に貸しをつくり同盟を結ばせた。これも「能力」であります。其の人其の人の中にある潜在「能力」をいつ発揮するのかは、其の人間の培った経験でその「能力」が発揮されるのであると思われます。だから色々な人の話を聞き、又色々な本を読み自分自身を磨いてもらいたいと思います。あなた達には必ず出来ると確信しております。それから『見えない物を見る力』を付けてほしいと思います。「場を読む」という事です。